よくわかる特殊相対性理論(2) 天野治

特殊相対性理論は重力を考慮しない特別な場合の理論で、重力を取り込んだのが一般相対性理論である。

速度=距離/時間である。

地球で光を南北と東西の方向で測定した。地軸の関係はあるが、地球は東西に回転している。精密に測定すれば、南北と東西で光の速度は異なるはずである。しかし、何回測定しても、光の速度は一定であった。

そこでアインシュタインは速度が一定なら、距離(空間)と時間が異なっているのではないか。ひずんでいるのではないかと考えた。

自分が光の高速に近い速度で動いて光を観測すると、光は波であるので、光の波長は短く見える。これは距離(空間)がひずんだためである。一方、波の振動時間もひずんでいる。

このひずみの式が以下の通りである。

 

動いているものの時間=止まっているものの時間×√(1-(動いているものの速度/光の速度)2)

 

波はエネルギーである。光は波であり、粒子である。波の最大速度は光の速度である。物質の持つ最大エネルギーは、E=mc2である。質量が波の速度になることは普段はない。物質が安定である、原子核を壊さない限り無理である。その原子核を壊す、核分裂反応、核融合反応で、この物質の持つ最大エネルギーを取り出すことができる。

1939年にドイツ人ハーンの核分裂実験とドイツを逃れたマイトナーとフリッシュがこの計算式を用いて核分裂で失われた質量から核分裂のエネルギーが求めた。アインシュタイン特殊相対性理論の正しさが証明された。