よくわかる特殊相対性理論、天野治

速度=距離/時間である。

高速で動いている船のマストからボールを真下に落とすと、動いている船の中では、ボールは真下に落ちる。しかし、陸からその様子を観察すると、ボールは進行方向にも動いている。速度は真下の速度と船の速度の合成になる。

地球で光を南北と東西の方向で測定した。地軸の関係はあるが、地球は東西に回転している。精密に測定すれば、南北と東西で光の速度は異なるはずである。しかし、何回測定しても、光の速度は一定であった。

そこでアインシュタインは速度が一定なら、距離(空間)と時間が異なっているのではないか。ひずんでいるのではないかと考えた。

我々が光の速度に近づいた宇宙船に乗っているときには、時間も空間もひずむのではないか。しかし、地球で通常の生活をしているときは、時間も空間もひずまない。この二つがあるので、相対性である。これが相対性理論の本質である。

 

一方、速度=加速度×時間である。

重力も重力加速度というように、加速度である。最初の理論は、重力の影響を考慮しなかったので、特殊相対性理論(重力を考慮しない特別な場合の理論)といわれる。重力を取り込んだのが、一般相対性理論である。