ウラン物語 その3 核分裂と天然原子炉と高レベル廃棄物

 

ウランなどのすべての元素は、電子雲とその中の原子核でできている。原子核は電子雲に比べると、東京ドームとボールの大きさくらいの違いがある。このボールを分裂させるのが、核分裂である。

電子雲はマイナスの電気を持っているので、核分裂させるために電気を持たない中性子を使う。

東京ドームが厚い雲(電子雲)で覆われている。マイナスの電子バリアである。電気を帯びたアルファー線やベーター線は近づくことができない。

核分裂で発生した中性子は光と同じ速さで、あっという間に東京ドームを突き抜けてしまい、ボールに当たることは極めて稀である。ところが水素のカバーをしておくと、水素とあたりながら、急激に中性子の速度が落ちる。1/10000まで落ちると、平衡状態になる。これでボールに当たりやすくなる。ボールに当たると、ウランは分裂してさらに、2,3個の中性子が発生する。連鎖反応である。

水素は軽いので、カバーとしては使えない。しかし、酸素と結合した水は液体であり、カバーとして使える。核分裂にはウランだけではなく、水も必要である。ウランが自然に安定物質になる時に、3%の割合で中性子を発生する。

核分裂は、人間が原爆や原子力発電に使う以前の20億年前に、アフリカのガボン共和国のオクロ鉱山の近くで、長きに渡っての核分裂の跡がある。20億年前から、火の玉地球が冷えて、酸素濃度が上がり、海と雨が生じた。ウランの近くに水たまりができることで、自然の原子力発電所ができた。

 

中性子をウラン235に加えると、ウラン236になり、不安定になり、分裂する。そのときに、ウランが元素として結合していたエネルギーを放出する。これを熱として発電に利用しているのが原子力発電所である。一方、ウランは半分に分裂して、新たな物質ができる。さらに、ウランとその仲間が中性子を吸収してプルトニウムの仲間ができる。新たな物質とプルトニウムの仲間が高レベル廃棄物の元となるものである。極めて毒性が強い。

 

オクロ天然原子炉の周りの詳細に調査した結果、これらの高レベル廃棄物は分散せずに、残っていることがわかった。高レベル廃棄物を地下に20億年安定に貯蔵することが可能であることがわかった。